今月の臨床 体外受精マニュアル—新しく始める人へのアドバイス
体外受精の展開
7.Assisted Hatching
矢野 浩史
1
1矢野産婦人科
pp.1149-1153
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902242
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●はじめに
IVF-ETはその飛躍的な進歩により,妊娠率は向上したものの移植胚あたりの着床率は低く,効率が悪いのが現状である.1990年,Cohenら1)はマウス卵の体外培養において惹起される透明帯の硬化(in vitro induced zona hardening)2)がヒトのIVFにおいても起こり,透明帯の質的あるいは形態的変化が胚の透明帯脱出(hatching)を阻害し,その結果着床率が低下するのではないかと考えた.そこでマイクロマニピュレーターによるPZD(partial zona dissection)法により胚の透明帯に小切開を加え,移植したところ着床率が向上したと報告した.透明帯に加えた小切開がhatch—ingを補助したとして,assisted hatchingと命名された.その後,PZD法では切開孔が小さく,hatchingの途中で胚がtrapされたりすることから,酸性Tyrode液を吹き付けて透明帯の一部を溶解して開孔するzona drilling法が考案され,現在主に行われている3).
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