今月の臨床 体外受精マニュアル—新しく始める人へのアドバイス
体外受精の準備
4.ラボラトリー
3)公立病院の体外受精
佐久本 哲郎
1
,
中山 美奈子
1
,
大城 貴子
1
1沖縄県立那覇病院産婦人科
pp.987-990
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902208
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1 ラボラトリーの設計ならびに環境
体外受精・胚移植(IVF-ET)による治療を行うにあたっては,ラボラトリー(卵培養室ならびにその付属室)の設計および環境に細心の注意をはらうことが重要なことである.ラボラトリーの良し悪しがIVF-ETの成績を左右すると言っても過言ではない.設計にあたっては,採卵手術室と卵培養室がより近接しているのがよい.われわれの施設においては採卵手術を分娩室で行い,そのすぐ側に卵培養室を設置している.そのため体外に取り出された卵が培養器に入れられるまでに短時間ですむので,卵への影響をより最小限にとどめることが可能である.また胚移植も同じ採卵手術台で行うので,移植に際して培養器から患者までの距離を最短にできる.さらに採卵術者と卵観察者が直接会話や視覚での確認が可能である利点がある.
卵培養室はできるかぎり清潔な環境にすることが,培養液や器具類への細菌汚染の予防につながる.無菌環境とするために,われわれの培養室は空気清浄フィルターを通した空気の陽圧下にある.さらに温度を一定に保つための工夫もしている.これは培養器内の温度が室温により変化させられることがあるからである.
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