今月の臨床 体外受精マニュアル—新しく始める人へのアドバイス
体外受精の準備
4.ラボラトリー
2)不妊クリニック
原 利夫
1
1はらメディカルクリニック
pp.979-985
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902207
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●はじめに
1960年代後半より鈴木(慶應大学),林(東邦大学)らは,体外受精の基礎となる研究成果を国内外に多く発表してきた.しかし,往時,国内では,体外受精に対する関心は高くなく,国内での研究,臨床実験に対する議論の高まりは,ルイーズ・ブラウン嬢の誕生を待たねばならなかった.1978年,ルイーズ・ブラウン嬢の誕生と同時に国内各大学はその基礎的研究を発展すべく、イギリス,西ドイツ,オーストラリア,アメリカへと共同研究者を送った.彼ら研究者の帰国ととも本邦における本格的な体外受精の臨床応用が始まった.各施設,大学病院のシステムは,海外における研修先機関,実施施設の流れを継承しており,設備,器具,チャート表も含め同じように開始された.初期の体外受精施設には関連病院からの研修医が多く集まり,自らの施設で同じようなシステムのもと国内各地で体外受精が産声をあげた.
しかし,体外受精実施にあたり当時の大きな問題点として,全身麻酔(硬膜外麻酔)による腹腔鏡採卵,および培養液作成のための管理の問題があった.この2点が開業医レベルでの体外受精の臨床応用を大きく阻止していた.しかし,この壁を打ち破ったのが,経腟超音波採卵と市販培養液であった.多くの研究者は超音波の進歩が開業医における外来体外受精を可能にしたと,賛辞を送るが個人的には市販培養液に軍配を上げたい.
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