産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
子宮筋腫と子宮肉腫の鑑別のポイント
望月 眞人
1
1神戸大学
pp.525
発行日 1995年4月10日
Published Date 1995/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902105
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子宮筋腫・子宮肉腫の診断を行う上で一番大切なのは緻密な問診・内診所見であり,画像診断法はあくまで補助診断である.子宮筋腫と子宮肉腫の鑑別の第1ポイントは,問診・内診所見で得られる発育速度,腫瘍の大きさ,性状,浸潤度である.子宮肉腫は,急速に発育増大してきた子宮腫瘍で,性状としてはいわゆるMyoma硬ではなくて,一般に柔らかい事を特徴とする.これは病理組織学的にも肉腫組織が非常に血管に富んでおり急速に発育増大し,いたるところで壊死に陥り,特に腫瘍内に出血を伴う事に一致する.非常にまれにゼラチン様のMyxoid変性を伴うことがある.腹膜,後腹膜,膀胱,大腸等の周囲組織への浸潤は非常に動きが悪いことより推定されるが,子宮内膜症の合併の場合はそれとの鑑別は困難である.そこで,私は,こういった子宮肉腫を疑う症例には,第2のポイントとして積極的に生化学的検査として肉腫に比較的特異的な腫瘍マーカーと考えられるLDHを測定し,特にそのisozymeを検索している.筋腫,変性筋腫においては,LDHはほぼ正常範囲に入り,高値を示す症例でもis—Ozymeは正常な分画を示す.一方肉腫例では,異常高値を示すことが多く,そのisozymeは特にLDH2, LDH3が高値を示す.
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