カラーグラフ 遺伝講座・7
遺伝子診断の実際・1
鈴森 薫
1
1名古屋市立大学医学部産科婦人科
pp.5-7
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902005
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遺伝子診断の進め方
現在では.遺伝子解析の方法で述べたように,いくつかの遺伝子診断手技が利用できるようになっている.遺伝子診断をすすめるに際して重要なことは,対象となる疾患についてどのような手技が最適であるかをあらかじめ確認しておくことである.
図1に考えられる状況での遺伝子解析の進め方を示す.遺伝子診断を始めるにあたって,産科領域では,まず症状および検査から遺伝子疾患が疑われる子どもを出産した女性が受診する.最初になすべきことは詳細な家系図の作成である.症状や検査結果からまず特定の疾患遺伝子を想定できるが,患児から責任遺伝子を取り出して,その変異を同定することはかなりの労力となるので,まず,その遺伝子プローブあるいはDNAマーカーを入手するよう努力する.できるだけ大規模の家系構成員から血液を採取,DNAを抽出し,各種の制限酵素で切断,電気泳動後,遺伝子プローブあるいはDNAマーカーとハイブリダイズし,その結果得られるバンドの多型を比較して患児と正常者と識別できるかどうかを確かめる(サザン・ブロット法による多型分析(RFLP)).限られた遺伝子マーカーと強い連鎖傾向があるようであれば,責任遺伝子を同定し,変異部位の確認も可能である.また,既知の遺伝子であれば,いくつかの領域をPCR法で増幅し,SSCP法で変異部分の存在の有無を確かめ,集中的にその領域の塩基配列を解析し変異を確認する.
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