産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
婦人科腹腔鏡下手術での組織接着剤スプレーの応用—triple lumen spray tubeを用いた止血法
久布 白兼行
1
,
野澤 志朗
1
1慶応義塾大学
pp.1402
発行日 1994年11月10日
Published Date 1994/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901966
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婦人科領域における腹腔鏡下手術は,自動縫合器・ENDO GIAなどの新たな器具や各種周辺機器の導入によって,子宮,卵巣,卵管の良性疾患を対象として行われている.一般に腹腔鏡下手術では,oozingなどに対する確実な止血は開腹手術に比べ困難な場合が多い.特にチョコレート嚢胞を伴った外性子宮内膜症の腹腔鏡下手術では,癒着剥離や嚢胞摘出術などの手術操作後の止血処理に難渋することが少なくない.そこで,我々の教室では新たに開発されたtriple lumen spraytube1)(図)を用いて組織接着剤(フィブリン糊)スプレーを使用しているので紹介したい.
従来より,フィブリン糊は開腹手術においてoozingに対する止血や,後出血の防止の目的で使用されており,筋腫核出術後の創部の被覆や癒着剥離後の止血などに用いられている.フィブリン糊は液体として使用するよりは圧縮空気などによりスプレー状にすることで,より効果的に被覆が可能となる.
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