今月の臨床 難治性合併症を診る—産科
感染症
25.細菌感染症
千村 哲朗
1
1山形大学医学部産婦人科
pp.1384-1386
発行日 1994年11月10日
Published Date 1994/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901961
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産科領域における細菌感染症では,妊娠中(分娩時を含む)と産褥期に分類されるが(表1),これらの診断は比較的容易である.妊娠中の化学療法は,胎児への安全性が第一に要求され,妊娠初期(臨界期)の器官形成期では注意が必要である.また産褥期では母乳を介しての新生児への薬物移行が問題となるが,母体治療が優先する場合には授乳を中止するのが原則といえる.
周産期感染症の起炎菌の性状からみれば,グラム陽性菌・陰性桿菌・嫌気性菌など多様性を示すが,難治性感染症としてはMRSA(Methicillin—resistant Staphylococcus aureus)と緑膿菌Pseudomonas aeruginosa,Pseudomonas cepaciaなどがあげられよう.感染経路からみると,妊娠中の下部性器細菌叢(細菌性腟症bacterialvaginosis)が問題であり,その上行感染形態による発生が重要である.
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