トピックス
細菌感染症とアポトーシス
斉藤 麻理子
1
,
大石 和徳
1
1長崎大学熱帯医学研究所感染症予防治療分野
キーワード:
アポトーシス
,
caspase
,
細菌感染症
Keyword:
アポトーシス
,
caspase
,
細菌感染症
pp.1039-1041
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100972
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
近年,アポトーシスが種々の細菌感染症,ウイルス感染症,寄生虫疾患において深くかかわっていることが明らかになってきた.
アポトーシスの分子機構において(図1),各種の細胞調節因子はそれぞれに対応する受容体に結合するか,あるいは細胞内のシグナル伝達蛋白質を直接活性化することで,カスパーゼ(caspase:cysteinyl aspartic acid-proteinaseの略)を活性化する.一般に,カスパーゼは機能的に,最初に活性化されるcaspase-2,8,9,10,アポトーシスシグナルを増幅する役割をもつ実行caspase-3,6,7とサイトカインであるIL-1β,IL-18の活性化を誘導するcaspase-1,4に分けられる.活性化されたカスパーゼはエンドヌクレアーゼによる活性化により核DNAが切断され,核および細胞が断片化することによりアポトーシスに陥る.
細菌感染症におけるアポトーシス誘導機構として,caspase-1,caspase-3依存的なアポトーシス誘導経路が知られている.本稿ではこれらの病態について解説する.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.