今月の臨床 難治性合併症を診る—婦人科
術後の難治性合併症
20.DIC
曽我 賢次
1
1秋田大学医学部産婦人科
pp.1242-1244
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901921
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婦人科のDICは急性に出現する産科DICと異なり,悪性腫瘍に伴ってゆっくり出現する慢性DICがほとんどである.基礎疾患に癌がある場合,血管内凝固を引き起こす原因となる組織トロンボプラスチン(癌組織には多い)がつねに血中に入り込んでおり,外因系凝固機序は作動しつつ,いつでも血管内凝固が起こってもおかしくない状態となっている.また,悪性腫瘍などの基礎疾患があると,これらの病態に敗血症や真菌症が合併することが多い.エンドトキシンは敗血症の原因として知られるが,これが血管内皮細胞を傷害しFXIIやプレカリクレインを活性化して血液凝固を発動させる.敗血症では通常,赤血球沈降速度が亢進するが,当然亢進するはずの赤血球沈降速度が遅延し出血傾向がでてきた時はDICを強く疑わなければならない.
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