症例
脳出血をきたした産科的DICの1例
曽我 賢次
1
,
後藤 薫
1
,
真木 正博
1
,
柳田 範隆
2
,
坂本 哲也
2
,
峯浦 一喜
2
,
古和田 正悦
2
Kenji Soga
1
,
Noritaka Yanagida
2
1秋田大学医学部産婦人科
2秋田大学医学部脳神経外科
pp.901-905
発行日 1985年11月10日
Published Date 1985/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207286
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DICは産科医にとってはそれほどめずらしい疾患ではないが,DIC経過中に脳出血を併発し救命しえた報告は世界でもほとんどない。今回われわれは,某医より担送された子宮内容除去術後のDICで,経過中,脳動静脈奇形(AVM)からの出血をきたした1例を経験した。当科でのDIC管理方法でDICをコントロールし,出血傾向がやや改善された時期に,脳内血腫,AVM除去術および感染巣とみられた変性子宮筋腫に対する腹式単純子宮全摘術を施行することができた。その後の経過は順調で,AVM破裂時にあらわれた右上下肢不全麻痺およびGerstman症候の左右失認も寛解し,独歩退院できた。この症例のごとく,DICに脳出血が合併し,これを完治したきわめて貴重な経験をしたので当科でのDIC管理方式と併せ報告する。
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