症例研究
双角単頸子宮の双角妊娠の1例
岩本 和人
1
,
角銅 洋
1
1国立別府病院田の湯病棟
pp.358-359
発行日 1954年6月10日
Published Date 1954/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201045
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緒言
発生学的に子宮は胎生期第8週頃より第13週に亘り両側Müller氏管の下部が相癒合して子宮及び腟を形成するが,この癒合が不完全な場合には双角子宮,分離重複子宮,弓状又は双底子宮等を生ずる。かかる畸型子宮は特別な自覚症状を呈しない場合があり,又月経障碍(月経痛,不整月経寡少月経)を訴える場含もある。然し多くは双合診,子宮消息子検査法,子宮卵管造影術により容易に診断出来るものであるが,時には子宮筋腫,卵巣嚢腫等と誤診され,開腹手術により初めて副角子宮と診断される場合がある。
最近,我々は当初双合診により双角子宮妊娠と診断を下しながら,子宮卵管造影術,子宮消息子検査の結果に迷わされ,左角の人工妊娠中絶術(妊娠2月)を行つた後,右角を右靱帯内腫癌の疑の下に開腹し,当初の診断の如き子角同時妊娠例である事を確めた症例を経験したので茲に報告する。
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