今月の臨床 胎盤—母児接点としての役割
トピックス
25.妊娠性蛋白
水谷 栄彦
1
1名古屋大学医学部産婦人科
pp.1022-1024
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901856
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著者らは,胎盤中の各種プロテアーゼ類を検索し,妊婦血清中のプロテアーゼ類との関係を明らかにしてきた1).最近ではアミノペプチダーゼPの存在を認め,その精製を行い,酵素学的性質を明らかにしつつある.本稿では,胎盤プロテアーゼと母体胎児の血圧調節機構について述べる.
1940年代に妊婦血中にWerleがオキシトシン(バゾプレシン)分解酵素,Pageがアンジオテンシン分解酵素の存在を報告した.これらが胎盤プロテアーゼ研究の発端である.バゾプレシンは細動脈を収縮させ血圧を上昇させるペプチドで,水分保持も行うので,抗利尿ホルモンと呼ばれている.アンジオテンシンIIは生体内の強力な血管収縮性ペプチドのひとつである.妊婦血中にバゾプレシンやアンジオテンシンを分解する酵素が存在することはこのように古くから知られていたが,それらはあまり詳しくは検討されてこなかった.胎盤プロテアーゼは,妊婦血中に遊出することから,私は約25年前妊婦血中プロテアーゼの測定を胎盤機能検査法として臨床応用することから始めた.
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