今月の臨床 妊娠高血圧症候群と関連疾患
【関連疾患の病態と管理】
1.妊娠浮腫と妊娠蛋白尿
栁原 敏宏
1
1香川大学医学部周産期学婦人科学
pp.1277-1279
発行日 2009年10月10日
Published Date 2009/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102193
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はじめに
妊娠中毒症は,高血圧,蛋白尿,浮腫を三主徴として1982年に定義された疾患である.母児の予後と病名との不一致や,欧米分類との整合性がとれないなどの理由から,欧米における高血圧を主体とした考え方を取り入れ,2004年妊娠高血圧症候群へと名称と概念が変更された.これにより,それまで単独症状でも妊娠中毒症と診断されてきた蛋白尿と浮腫が除かれることになった.浮腫は随伴的症状であり,単独の症状では母児の予後に対する症候的意義がないため診断基準から削除された.蛋白尿は,高血圧の付随症状として現れることが多く単独では妊娠高血圧症候群とはならない.これは,蛋白尿単独では母児への重大な影響は与えず,産科合併症とも関係ないからである.妊娠中のみ現れ産褥消失する蛋白尿は妊娠蛋白尿(gestational proteinuria)とされ,妊娠中蛋白尿が発生してもその時点では病名はつかず,産褥12週までに蛋白尿が消失した場合に初めて妊娠蛋白尿の診断名がつくことになった.
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