今月の臨床 胎盤—母児接点としての役割
Overview
1.胎盤研究の流れ—形態面
相馬 廣明
1
1埼玉医科大学産婦人科
pp.954-956
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901832
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1959年からBoston Lying-in Hospitalに留学中,毎日Dr BenirschkeとDr Driscollによる胎盤病理検査のお手伝いをしてから,すでに34年も経った.当時は小児麻痺やそれに近い周産期疾患の原因研究が事盛んであり,その一貫として胎盤の観察が重要視され始めた.当時分娩数のきわめて多かったBoston Lying-in Hospitalの病理研究室では,連日冷蔵庫の中に白い紙箱入りの胎盤の数が増し,placental sheetの記載項目の詳細なのに驚いた.そして時に階事上の生化学研究室でDrVilleeが中心となって行った胎盤研究会の内容は,当時まだ少なかった胎盤研究のよすがを知る貴重な記録となっている.
1960年Rochesterで第1回Trophoblast Con—ferenceが開かれ,胎盤についての業績が発表されたが,現在の胎盤研究の多方面にわたる進歩に比しては昔日の感がある.Wilkin1)(1965),Benirschke2)ら(1967),Boyd3)(1970)によって出版された胎盤病理学の本に続いて,現在では膨大な資料が提供され,数多くの胎盤の専門書が出版されている(Fox4),Becker5),Perrin6),Lave—rv7),Benirschke8),Shankin9),Redman10)).しかも毎年膨大な胎盤研究発表が加速度的に増している.
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