産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
婦人科手術における崎原式深部結紮器(泉工医科工業)の利用
大濱 紘三
1
1広島大学
pp.577
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901725
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通常の場合は糸の結紮は両手指を用いて行うが,結紮部位が非常に深部の場合には手指の挿入が困難であったり,また,術野が狭い場合には術者の手によって結紮部位の直視が妨げられることがある.このような場合,崎原式深部結紮器を用いると非常に便利である.崎原式結紮器は,国立呉病院崎原英夫名誉院長により肺門部血管の結紮を目的として考案され,外科領域では直腸癌,結腸癌などの骨盤深部での結紮操作や,比較的視野の浅い胃癌手術での血管の分離結紮に用いられている.また耳鼻科領域では扁桃腺の手術に利用されている.婦人科領域では,著者は主に広汎性手術における基靱帯深部の血管の分離結紮やリンパ節郭清の際の深部の結紮に用いている.また,筋腫分娩に対する頸管内や子宮腔内に存在する茎部の結紮も用いている.この場合まず消息子で茎部の位置や太さをチェックし,絹糸(0号)で茎部を2か所結紮するようにしている.結紮が適正に行われれば出血は直ちに激減し,3〜4日で子宮筋腫の変性が進み,7日目には容易に捻転切除することができる.その他,未妊婦の腟円蓋近くの腟壁裂傷の縫合に用いた経験があるが,常に直視下での操作が可能で,極めて容易に結紮することができた.
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