今月の臨床 IUGR診療
IUGRの診断
13.羊水の評価
金岡 毅
1
1福岡大学医学部産婦人科
pp.292-295
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901645
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊娠末期の羊水量は胎児体重に比例するが,子宮内発育遅延胎児(IUGR)は正常胎児に比較して尿量産生が少なく,また,羊膜や臍帯からの水分産生も減少するために,羊水量が減少する.したがって,時間経過に伴う膀胱容量の変化から,時間あたりの尿産生量を測定すると,IUGRの程度と尿産生量とは比例する.腎無形成や尿路閉塞を伴うIUGRでは羊水量がさらに減少または欠如している.このような羊水過少を伴う児の80%以上は10パーセンタイル以下のIUGRであり,かつ,分娩経過中には胎児心拍数図に臍帯圧迫による胎児心拍数異常を発生しやすい1).
しかしながら,IUGRの出生前診断そのものについては,胎児各部分の超音波計測や,それらに基づく胎児体重の推定などが,羊水量や尿量を測定するよりも,はるかに直接的,かつ有用な指標となる.したがって,IUGRをもつハイリスク妊娠において,妊娠後期に羊水のpocketやAFI,排尿の回数や量などを測定する意義は,IUGRの発生機序を解明し,その生活機能を評価するための出生前胎児診断の一環として施行すべきであり,これらによって一般妊娠からIUGRをスクリーニングする目的で施行するものではない.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.