症例
羊水穿刺による高位破水後に長期管理しえた自然分娩例について—新しい破水診断試薬(抗AFPモノクローナル抗体キット)の応用
岸田 達朗
1
,
山田 秀人
1
,
佐川 正
1
,
藤本 征一郎
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.117-120
発行日 1994年1月10日
Published Date 1994/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901595
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羊水鏡検査法を含む従来の破水の診断方法・手順で確診しえなかった場合,経腹的羊膜腔内色素注入法(PSP法)をわれわれは1981年以来行っており,その臨床的有用性をこれまでに報告してきた1,2),PSP法は破水の鑑別・確定のための診断法として有用であるが,検査対象は限定される,破水診断のための抗AFPモノクローナル抗体キットをわれわれは新たに開発し,その臨床的有用性を報告した3).
妊娠15週6日に羊水穿刺施行後の破水と診断され,入院時のAFPキットは陽性であったが,経過観察中にAFPキットをくり返し行ったところ陰性となり,高位破水の卵膜自然修復(reseal)と考えられた症例を経験した.妊娠期間は37週まで延長され,感染徴候もなく,成熟児を娩出しえた.高位破水のresealについては,われわれの2症例についての報告4)以外に具体例についての報告が内外になく,本症例は,羊水穿刺後ではあるが3症例目と思われ,その臨床経過について報告する.
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