症例
妊娠中期における高位破水後にresealされ長期管理し得た2症例について—羊膜腔内色素注入法(PSP法)を用いて
岸田 達朗
1
,
根岸 広明
1
,
奥山 和彦
1
,
佐川 正
1
,
牧野田 知
1
,
藤本 征一郎
1
Tatsuro Kishida
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.1489-1493
発行日 1993年12月10日
Published Date 1993/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901560
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われわれは,羊水鏡検査法を含む従来の破水の診断方法・手順で確診しえなかった場合,経腹的羊水穿刺による羊膜腔内色素注入法(PSP法)を高位・低位破水ならびに仮羊水破水の鑑別方法として,妊娠中期における前期破水またはその疑いの症例を対象にして1981年以来施行してきた。その正診率は100%であり,その臨床的有用性および安全性をこれまでに報告してきた1-4)。
今回妊娠中期における前期破水またはその疑いの症例のなかで,妊娠27週と妊娠23週にPSP法により高位破水と診断された後,経過観察中に本検査を反復施行したところ陰性となり高位破水の再被覆(reseal)が客観的に証明された2症例を経験した。1例は妊娠36週,他の1例は40週まで妊娠期間が長期に延長され,感染徴候もなく,成熟児を娩出し得た。
高位破水のresealについては,その確定診断が困難であったために今までのところ具体的な症例の報告がない。それら2症例の臨床経過と当科における早産期前期破水の管理方針について報告する。
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