今月の臨床 不妊の原因を探る
無排卵・無月経
7.甲状腺機能異常と不妊
安達 知子
1
Tomoko Adachi
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.1170-1172
発行日 1993年10月10日
Published Date 1993/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901467
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甲状腺機能異常は性成熟期の婦人に発症頻度の高いことが知られている。このうち,原発性甲状腺機能亢進症は排卵障害などの内分泌障害をあまりきたさず,しばしば妊娠に合併して,その活動期においては流産,早産,胎児奇形,IUGR,妊娠中毒症などを引き起こすことが報告されている。一方,原発性甲状腺機能低下症は,従来より無月経や稀発月経などの月経異常を伴いやすいことが知られていたが,機能低下症の臨床症状は全身倦怠感,皮膚冷感,便秘,下肢の浮腫,脱毛など非特異的な症状であるため,本疾患を疑わなければ診断は難しく,従って不妊症患者で上記の症状を認めても本症の診断が得られないまま不妊治療が行われている場合も多い。本稿では卵巣機能異常と深いかかわりのある原発性甲状腺機能低下症を中心に教室の行っている日常診療の概要を解説する。
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