今月の臨床 高年婦人科—更年期から老年期へ
一般症状の診かた,とらえ方
15.不正性器出血
荷見 勝彦
1
Katsuhiko Hasumi
1
1癌研病院婦人科
pp.936-938
発行日 1992年8月10日
Published Date 1992/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900965
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
不正性器出血を訴えて患者が来院した場合は,まず,それが性器からの出血で,膀胱や直腸からの出血でないことを確かめなければならない。特に出血が少量の場合や,1〜2回だけの場合はどこからの出血か,患者にはわからない場合が多い。そのためには,カテーテル尿の沈渣と直腸診が役に立つ。
更年期以後の出血をきたす疾患を表1に示す。器質的疾患として一番重要なのは子宮体部,子宮頸部,腟,外陰の悪性腫瘍である。特に50歳より頻度が急上昇する子宮体癌に注意し,必ず子宮内膜細胞診と内膜組織診をしなければならない。良性疾患としては,内膜増殖症,内膜ポリープ,内膜炎,粘膜下筋腫,頸管のポリープ,老人性腟炎,腟裂傷,尿道カルンクラなどがある。また腟部びらんも大きなものは,性交時の出血の原因となる。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.