今月の臨床 外陰の診かた
疾患のポイントと私の治療法
20.萎縮症
高橋 克幸
1
Katsuyuki Takahashi
1
1国立仙台病院
pp.742-744
発行日 1993年6月10日
Published Date 1993/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901340
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概念
1976年,ISSVD (International Society for theStudy of Vulvar Disease)が外陰疾患の分類とその規準を決めるまでは(1986年にその一部を改訂),外陰疾患はいろいろな名称で呼ばれていた。その中で多用されたものに外陰白斑症(leukopla—kia vulvae)や萎縮症(kraurosis vulvae)がある。しかしながら両者は別個の病変ではなく,時期の違いにより異なる形態を示す同一疾患であり,癌化との関係から論ずるのがよいという考えに立つと,ISSVD分類は妥当な疾患分類である。これまでの萎縮症は,大部分外陰ジストロフィー(vul—var dystophies)の中の硬化性苔癬(lichen scler—osus)に当たる(表1)。
現在臨床の現場では,萎縮症という呼称が一般的に用いられているが,将来は硬化性(萎縮性)苔癬か外陰ジストロフィーという名称に統一されるであろう。硬化性苔癬のカテゴリーには従来の外陰萎縮症,原発性萎縮症あるいは白斑症の萎縮期とされた病変の大部分が含まれる。硬化性苔癬は卵巣機能が低下した50歳以降が好発年齢で,平均年齢は約60歳といわれるが,成熟期や小児期にもみられる。外陰萎縮がひどくない例では無症状のことも少なくないが,主症状は掻痒ある。
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