臨床メモ
過期妊娠におけるfetal distressは羊水減少による臍帯圧迫が原因
貝原 学
1
1東大分院産婦人科
pp.258
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207156
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従来より過期妊娠でfetal distressが発生するのは,胎盤の老化による胎盤機能不全がその主な原因であると考えられていた。しかしながら,最近,過期妊娠におけるfetal dis—tressの原因は,胎盤機能不全に基づくというよりも,羊水量の減少による臍帯の圧迫がより重要であると指摘した論文が報告されている。
Jevenoら1)は,fetal distressのために帝主切開術が施行された過期妊娠の59例について,帝切の適応となった胎児心拍数図の異常について分析した。その結果,胎盤機能不全に特徴的な遅発性徐脈は,わずか3例に認められたにすぎず,大部分はprolonged deceleration (60bpm以下の心拍数が2分間以上持続する場合)や重症な変動性徐脈などで占められていた。またsaltatory baselinepatternが認められる場合も多かった。これらの異常パターンはいずれも臍帯が圧迫された時に発生する所見であり,過期妊娠におけるfetaldistressは臍帯の圧迫と密接な関係にあることを物語っている。
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