手術
腹膜妊娠の手術
馬島 季麿
1
Suemaro Majima
1
1日本大学産婦人科
pp.691-695
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204447
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
子宮外妊娠のうち卵管妊娠はほとんどすべてが初期に中絶するが,腹膜妊娠は初期に中絶することは少なく,多くは中期または末期まで持続し,時には生活児を得ることすらある。腹膜妊娠初期には胎盤はまだ完成されず,着床もきわめて弱く,容易に剥離することができる。しかし中期以降には胎盤は完成され,着床も強固で,その剥離は困難かつ大量の出血を伴う。また腹膜妊娠では胎盤着床部位は腸管,腸間膜,広靱帯,子宮漿膜,付属器,ダグラス窩腹膜あるいは骨盤腹膜などで一定していない。
腹膜妊娠手術の重点は胎盤処理であり,胎盤処理の難易は前述のとおり,妊娠月数および胎盤付着部位のいかんによつて左右される。一般にこの胎盤処理は大出血を伴うため非常に危険であり,着床臓器損傷の危険も大きい。さらに術後合併症も多く,母体の死亡率も卵管妊娠に比して大である。したがつて手術術式の選択がきわめて重要である。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.