原著
婦人科悪性腫瘍手術症例に対するエリスロポエチン併用自己血貯血と低血圧麻酔
久保田 康愛
1
,
西村 譲
1
,
清水 廣
1
,
野原 当
1
,
塩川 泰裕
2
,
湯浅 晴之
2
Yasue Kubota
1
,
Yasuhiro Shiokawa
2
1泉大津市立病院産婦人科
2泉大津市立病院麻酔科
pp.207-210
発行日 1993年2月10日
Published Date 1993/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901190
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婦人科悪性腫瘍では,血管の豊富な骨盤腔内での手術のため,大量出血をきたし,輸血を必要とすることが多い。しかし,他家血輸血には,ウイルス感染症・GVHDなどの問題があり,この回避は重要な課題である。そこで,我々は,婦人科悪性腫瘍手術症例に対して,エリスロポエチン併用下に自己血貯血を行い,低血圧麻酔にて術中出血を軽減させ,他家血輸血を回避することができたので報告する。症例は,子宮頸癌2例・卵巣癌1例・子宮体癌1例の計4例である。エリスロポエチンと鉄剤併用下に,術前7〜11日間で600〜1,200 mlの自己血貯血を行った。また,PGE1による低血圧麻酔下に術中出血を385〜1,050 mlに抑え,自己血輸血のみで対処できた。
以上より,大量出血が予想される婦人科悪性腫瘍手術症例に対して,エリスロポエチン併用自己血貯血と低血圧麻酔が他家血輸血の回避に有用であると考えられる。
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