原著
クモ膜下微量モルヒネ投与による帝王切開術後の鎮痛効果と安全性
成松 昭夫
1
,
伊東 武久
1
,
縄田 修吾
1
,
小林 正幸
1
,
秋田 彰一
1
,
宮内 善豊
2
Akio Narimatsu
1
,
Yoshitoyo Miyauchi
2
1社会保険徳山中央病院産婦人科
2社会保険徳山中央病院麻酔科
pp.1390-1394
発行日 1992年11月10日
Published Date 1992/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901087
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脊髄麻酔時に微量の塩酸モルヒネ(M)を局所麻酔剤に混注するという簡単・確実な方法で,十分な術後鎮痛効果を得られるかどうか,安全性,至適投与量について検討した。対象は,1990(平成2)年1月から1992年3月の間に当科で帝王切開術を受けたASA 1-2の患者140名で,脊髄麻酔時にネオペルカミンSとともにMを0.2, 0.15, 0.1,0.05mg加えた群(0.2M, 0.15M, 0.1M, 0.05M)と,5%ブドウ糖のみを加えた群(C)について術中のvital sign,麻酔レベル,術後3, 5, 7, 18, 24, 42時間の各時点における鎮痛効果と副作用および新生児への影響について調べた。鎮痛効果は0.15Mまで濃度依存性を認め,0.15M, 0.20Mで術後24時間鎮痛効果を認めた。副作用は軽度であるが悪心・皮膚掻痒感をそれぞれ投与患者の約50%,80%に認めた。新生児への影響はneuro—behaviorも含めて,異常はなかった。これらのことからモルヒネの至適投与量は0.15mgと考えられた。
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