症例
卵管留水症茎捻転の3例
長坂 久司
1
,
池上 淳
2
,
長坂 正仁
2
,
深田 幸仁
1
,
中沢 忠明
2
,
安水 洸彦
1
,
加藤 順三
1
Hisashi Nagasaka
1
,
Atsushi Ikegami
2
1山梨医科大学産婦人科
2加納岩総合病院産婦人科
pp.1395-1398
発行日 1992年11月10日
Published Date 1992/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901088
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
卵管留水症茎捻転はまれな疾患であるが,若い生殖年齢の女性の下腹痛の原因として重要である。最近われわれは卵管留水症の茎捻転を3例経験した。全例下腹痛を主訴として来院しているが,全身状態は良好であった。検査では微熱が2例あり,白血球も軽度上昇していた。超音波断層法では,3例全例に付属器領域に直径数cmの管状または円形の嚢胞性腫瘤を認めた。2例は卵巣嚢腫茎捻転の診断で,1例は卵管留水症茎捻転の診断にて開腹した。卵管の捻転は,左側時計回り,右側時計回り,左側反時計回りであり,Küstnerの法則に従ったものは1例のみであった。2例は卵管のみの捻転であり,卵巣を伴ってはいなかった。開腹時には,全例とも卵管は梗塞しており,保存的治療は不可能であった。本症は早期であれば保存的治療が可能であるとされており,発症後の迅速なる対応が望まれる。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.