今月の臨床 思春期診療
思春期外来のあり方
25.思春期婦人診療の実際—予診から治療ムンテラまでのポイント
加藤 宏一
1,2
Koichi Kato
1,2
1前:防衛医科大学校産婦人科
2日本思春期学会
pp.1358-1360
発行日 1992年11月10日
Published Date 1992/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901080
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小児期および初経開始以前の女子では,女性性器は成熟しておらず,成熟への発育段階にあるため,目前の事象にとらわれず,将来,完全な健康な成熟婦人になるためには,如何に対処したらよいかを念頭に入れて診療すべきである。思春期女子の場合は,精神・感情面に最大の心づかいが必要である。
内診が思春期婦人,とくに,処女に与える精神的影響は,医師・看護婦が想像するより以上に大きく,婦人科外来受診を躊躇する最大の原因となっている。思春期の少女は羞恥心がとくに強く,例え内診をしなくても,性器の診察に対しては強い心理的抵抗を持っているので,成人女性と同じ扱い方で診察すると強い拒否反応を起こすおそれがある。婦人科的診察をむりに強行したりすると,精神的苦痛を与え,将来の性生活に心理的障害を残すこともある。そのため,婦人科的訴えを持つ少女やその母親が安心して訪ねてくることができ,適切な診察・指導が行われるような,特別の配慮が思春期婦人診療の際には必要となってくる。
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