症例
受胎後34日に胎芽の心拍を検出した子宮外妊娠の1例—発生学的ならびに診断学的検討
森 義三郎
1
,
森 明人
2
,
関 修一郎
3
,
桑名 實
4
Gisaburou Mori
1
,
Akito Mori
2
,
Syuichirou Seki
3
,
Takashi Kuwana
4
1森病院
2鹿児島大学産婦人科
3鹿児島市立病院周産期医療センター
4熊本大学第三解剖
pp.1011-1014
発行日 1992年8月10日
Published Date 1992/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900985
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29歳の一回経産婦が少量の性器出血だけで疼痛等なく来院し,子宮外妊娠を疑って経腹的に超音波診断法を施行した所,右の付属器にクルミ大の腫瘤を認め,その中に辺縁不整なGSと胎芽の心拍を認めた。付属器の腫瘤を摘出し,胎芽とその付属物の形状を知ること,ならびに正確な妊娠週数を知る目的で発生学的検討を行った。その結果,胎芽と付属物の形状は正常の子宮内妊娠とまったく変わらないこと,最終月経からすると妊娠4週に相当するが,実際には受胎後34日(妊娠6週後半)であることがわかった。子宮外妊娠における超音波診断法の貢献する所は非常に大きいのであるが,診断の検証についてはあまり報告されていない。綿密に行えば,確定診断になる胎芽の心拍の検出率はいままで以上に上がるのではないかと思われるが,それも摘出した標本の検索を行うこと,すなわち診断の検証を行うことが必須であり,その結果超音波診断の展望と限界が明らかになるであろう。
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