Japanese
English
症例
双胎間輸血症候群
Twin-to-Twin Transfusion Syndrome
西村 昻三
1
,
長基 顕
1
,
富山 良雄
1
,
岩坪 哲哉
1
,
渡辺 昭彦
1
,
吉岡 仁子
1
,
舘石 捷二
1
,
生田 治康
1
1聖路加国際病院小児科
pp.884-888
発行日 1966年6月10日
Published Date 1966/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201361
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最近胎盤の検索の進歩につれ,一絨毛膜性の双胎胎盤には,それぞれの胎児の血管系のあいだに吻合の多いことが知られるようになつてきた2)。これらの血管吻合を介して,一絨毛膜性の胎盤をもつ一卵性双胎では,両者のあいだに血液の交流が起こり,もしその血液分布に差を生じた場合には,一方に多血,他方に貧血を生ずるのみならずいままで類似をその特徴とされてきた一卵性双胎のおのおのの大きさについても,かかる変化が長期にわたつて存在する場合には,かなりの差を生ずることがある。かかる現象を名づけてTwin-to-twin transfusion syndrome1),Twin transfusionsyndrome8),Placental transfusion syndrome3),Intrauterine parabiotic syndrome7)などとよんでいるが邦訳では双胎間輸血症候群または胎内パラビオーゼ症候群とでもすべきであろう。
本邦ではわれわれが胎盤の血管吻合の証明により確診した最初の例を2年前に小児科学会にて報告してから,小児科領域では守屋,南部,飯野,高川,奥山,大浦,入来らによる学会報告がつづいており,注意して観察すればかなりの頻度で見られるのではなかろうかと思われる。本稿では当院において本症候群と確診をくだした例や,本症候群に属するものと思われた症例の紹介かたがた本症候群の成因,診断,症状,治療などにつき述べたいと思う。
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