今月の臨床 子宮内膜症
治療と予後管理
34.Frozen pelvis
鈴木 健治
1
,
福田 俊子
1
Kenji Suzuki
1
,
Toshiko Fukuda
1
1警友総合病院産婦人科
pp.96-97
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900719
- 有料閲覧
- 文献概要
子宮内膜症の拡がりの程度は,内診所見によるBeecham分類,開腹手術所見によるHuffman分類,そして,最近の腹腔鏡所見を加えたRevisedAmerican Fertility Society(RAFS)分類などがある。このうち,内診上,ダグラス窩が閉鎖し,骨盤内臓器が一塊となって,相互の境界が不明となり,移動性を失なった症例をfrozen pelvis(以下FPと略)と称し,子宮内膜症の重症型とされる(表1)1,2)。このFP症例は,病理学的には良性疾患であるが,隣接臓器への浸潤や癒着形成による機能障害など悪性腫瘍の病態に類似するため,通常の子宮内膜症とは,全く異なった慎重な取扱いを必要とする。
この観点から,最も重要な問題点は,診断面では,1)病巣の拡がりの程度の把握,2)大腸・直腸,卵巣,膀胱,後腹膜などの悪性腫瘍との鑑別,3)子宮内膜症より発生する悪性腫瘍の可能性などであり,治療上では,薬物療法の適応と手術術式の選択である。以下,これらを中心としてFP症例の臨床上の取り扱いの要点につき述べる。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.