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子宮腟部梅毒に就いて
萩原 晃
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.268-271
発行日 1949年7月10日
Published Date 1949/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200226
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緒言
戰後ペニシリン,マフアルゼン等の梅毒に對する新化學療法劑の出現,蔓延せる性病の對策確立等に件つて,梅毒も新なる見地より考察せられ,妊婦梅毒及不識梅毒の問題が取り上げられている.それ等と關聯して婦人梅毒の最好發部位である子宮腟部に於ける梅毒性變化に就いては,從來産婦人科領域に於ても比較的等閑視せられて,病變の特異にして多様なる點より見逃される場合も相當に多いものと思考される.
梅毒病巣より梅毒病原體を検出することは最も確實なる診斷法であるが,私は最近ビクトリアブラウⅣ R (Victoriablau—Ⅳ R)を使用してTreponema pallidumの運動を觀察し得て容易に檢出し得る新生體検出法を考案し,之を用いて子宮腟部の梅毒性變化を觀察しその8例を得たので,その概要と共に子宮腟部梅毒に就き考察を加え度いと思う.特にアメリカ文献に於て産婦人科書中に梅毒學が大きく取り擧げられ,梅毒病原體の檢出は淋菌と同樣に醫師のdutyであると強調し,明快に解読している點に興味を牽かれた.
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