症例
臍帯血管に石灰化が認められた2症例の検討
有澤 正義
1
,
中山 雅弘
1
Masayoshi Arizawa
1
,
Masahiro Nakayama
1
1大阪府立母子保健総合医療センター病理
pp.1003-1005
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900534
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本邦では臍帯の石灰化については,Wharton�s jellyの石灰化が報告されているが,血管の筋層への石灰化の報告はない。われわれは血管筋層の石灰化を認めた2症例を経験した。症例1は妊娠42週で分娩,子宮内胎児発育遅延の合併が認められた。臍静脈・動脈の石灰化および未熟絨毛の合併も認められた。症例2は妊娠41週で分娩,臍帯には静脈・動脈の両方に石灰化,絨毛には未熟絨毛の合併が認められた。児には巨大な腎臓腫瘍の合併も認められた。臍帯血管の筋層の石灰化については,臍帯血管の血栓,浸軟児・胎児水腫・Salla diseaseなどの例で報告されている。今回の2例は浸軟および感染の関連は考え難かったが,いずれの症例も新生児および絨毛の異常を合併しており,子宮内のなんらかの異常および児の代謝異常が合併していたのではないかと考えられた。
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