今月の臨床 月経とその異常
月経異常と全身疾患
12.全身疾患が月経に及ぼす影響—癌化学療法、放射線療法
北尾 学
1
,
岩成 治
1
Manabu Kitao
1
,
Osamu Iwanari
1
1島根医科大学産科婦人科学教室
pp.417-419
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900372
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各種抗癌剤の開発や投与方法・併用療法の改良により,悪性腫瘍患者の長期生存例が増加してくるにつれ,若年者の妊孕性の保存が重要な課題となってきた。現在,妊孕性の保存が可能な悪性疾患としては,婦人科領域では絨毛性疾患・卵巣腫瘍の低悪性度群・卵巣のEmbryonal carcinomaがあり,婦人科領域以外では白血病・ホジキン病・乳癌・胃癌などがある。
癌化学療法が月経に及ぼす影響について論ずる場合,視床下部・脳下垂体,卵巣について検討しなければならない。CPM(cyclophosphamide)療法例のうち,月経の存続している婦人では血中E2,FSH,LHは周期的に変動するが,卵巣機能障害が生じた婦人ではE2は低値が持続しFSH,LHは高値が持続する更年期以降と同様のhyper—gonadotropismとなること,またLH-RH投与によりLH,FSHが上昇しGonadotropinでE2が増加しないことから,癌化学療法は主に卵巣に直接作用すると思われる。
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