今月の臨床 不育症—その対策のすべて
治療の実際
25.ホルモン療法
相良 祐輔
1
Yusuke Sagara
1
1高知医科大学産科婦人科学教室
pp.80-82
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900278
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
排卵,受精,着床,胎盤完成という一連の妊娠現象の過程において,生理学的内分泌学的ダイナミクスが下垂体—卵巣系から,絨毛—卵巣系,さらに胎児—胎盤系へと転換してゆくことは周知のところである。このダイナミクスの質的転換の過程で,種々のホルモンが妊娠維持機構に関与しているが,妊娠初期にはhCGとprogesteroneが中心的役割りを果たしていると考えられる。
一方,不育症,特に妊娠初期の切迫流産,習慣性流産の原因は多岐にわたるが,内分泌学的原因としては,前述の着床,胎盤完成といった時期の内分泌学的ダイナミクスの質的転換が生理的に行われ難い時と考えられる。ホルモン測定法の制約から,実地臨床の場で,妊娠初期の絨毛障害あるいは妊娠黄体機能不全を臨床病態学として把握できず,明らかにホルモン分泌異常に起因する症例を対象として,今日なお,しぼりきれずに来たうらみがある。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.