今月の臨床 不育症—その対策のすべて
検査・診断の進め方
17.自己免疫疾患の評価
青木 耕治
1
Koji Aoki
1
1名古屋市立大学医学部産科婦人科学教室
pp.59-61
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900270
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
生体における免疫系は自己に対する免疫応答を中心にその恒常性が維持されているのであり,そこに生理的同種移植と考えられる妊娠現象が成立した場合には,非常に複雑な負荷が免疫系にかかっていると思われる。一方,病的自己抗体による自己免疫疾患は,以前より生殖年齢婦人に好発することが指摘されており,妊娠が自己免疫疾患のひとつの誘発因子と考えられている。このことは,妊娠現象が特殊な免疫状態にあることを考えると理に合っているように思われる。
このような背景の中で,病的妊娠現象としての不育症の一原因として,自己免疫異常(潜在性自己免疫疾患も含めた異常)が,近年注目されている。そこで本稿では,不育症にかかわる主な自己免疫異常の検査・診断を中心に概述する。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.