臨床研修セミナー 子宮体癌
子宮鏡による診断
林 保良
1
,
岩田 嘉行
1
Bao-Liang Lin
1
,
Yoshiyuki Iwata
1
1川崎市立川崎病院産婦人科
pp.362-368
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207983
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年齢構成の高齢化など先進成熟社会での特長的疾患の一つとされる子宮体癌の発生は日本においても増多の傾向にある。既に普及している子宮頸癌の検査と比較すると子宮体部は外部より到達しにくく,しかも内腔が広いためその検索はなかなか困難であり,不確実でもある。小さい体癌病変を盲目的な検査で見つけようとしても失敗に終る可能性が少なからず存在する。一方,子宮内を直接観察する子宮鏡検査法は最も確実であり,即座に体癌を正しく診断できることも少なくない。直視下生検を行えば,小さな病変でも正しく診断することが可能である。体癌の子宮頸部への浸潤の有無,すなわち臨床進行期の分類に子宮鏡検査は非常に重要な役割を演じることは言うまでもない。わが国では毛利・杉本の硬性子宮鏡の開発および杉本・高島らの体癌の子宮鏡所見の詳しい形態的分類とにより,体癌の内視鏡診断の水準は世界のトップレベルまでに到達したといっても過言ではない。
今回われわれは富土写真光機の協力で新しいヒステロファイバースコープを開発し子宮体癌の診断に応用してみたので,その概略を紹介し考察を加えてみたい。
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