特集 最新治療薬ガイド1990
Ⅴ.内分泌・生殖領域の治療剤
13.肥満とるいそう治療薬
村田 高明
1
1南多摩病院産婦人科
pp.1146-1147
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900246
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□漢方薬
1.対象と処方例
肥満やるいそうの基準は国民栄養調査にもとづく判定表の「太り過ぎ」や「やせ過ぎ」の区域であり,概ね標準体重の+20%以上や−20%以上である。肥満やるいそうは原因疾患(内分泌性,視床下部性,遺伝性など)に伴う症候性の場合もあるが,一般には,単純性肥満や単に痩せている場合が多い。症候性の場合は原因が治癒すれば体重の増減は改善される。外見上,肥満やるいそう状態であっても,諸検査で何ら異常徴候を認めない場合も多い。肥満者は思い込みである場合が多いという。肥満やるいそうが産婦人科領域で臨床的に問題になるのは,性機能障害,とくに月経異常,不妊症,妊娠合併症が多いなどである。また,ホルモン治療中(ダナゾールやピル常用),ステロイド治療中,タモキシフェンやフェリチアジンなどの薬剤性肥満もしばしばみられる。るいそうでは神経性食思不振症,体重減少性月経異常,シーハン症候群などがあり,最近とくに思春期に多いダイエットによる無月経が目立つ。成人病や老人病対策としての肥満やるいそうは,とくに心血管系疾患,糖尿病,子宮体癌,骨粗鬆症への養生や健康指導が必要である。
漢方医学からみた肥満は水毒,瘀血,食毒に関係している。るいそうは脾胃虚,気虚,血虚,不食病による消痩である。病態像を見極め,適応する漢方薬を投与する。現代医学におけると同様に難治性であることは否めない。
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