境界領域の再評価とその展開 特集
婦人と代謝
婦人の代謝異常
婦人の肥満とるいそう
森 憲正
1
,
河野 恭悟
1
Norimasa Mori
1
,
Kyogo Kawano
1
1宮崎医科大学産科婦人科学講座
pp.391-394
発行日 1987年6月10日
Published Date 1987/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207603
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生体の発育および生命維持にとって栄養代謝が必要不可欠であることは当然であるが,発育期を過ぎた成人では長期に亘って栄養摂取と消費が平衡した状態にあるのが普通である。この平衡が失われて摂取過剰へ傾くと,過剰分は体脂肪として身体に蓄積され,消費増大が持続すれば身体はるいそうする。何れかへ偏る際の栄養素の脂肪への転換,あるいは燃焼には生体内における代謝経路に従うが,特にこの代謝経路の異常が存在するものではなく,最初は単に摂取,消費の量的平衡異常に過ぎないものと解釈されている。その当初から代謝酵素あるいは経路の異常が存在する場合は肥満やるいそうだけではなく他の症状が出現する。
近年,美容上の問題,内分泌異常や高血圧など肥満に伴う多くの合併症あるいは産科合併症の頻度が高いため,またるいそうでは体重減少性無月経や運動性無月経などが注目されるようになって婦人の栄養状態に対する関心が高まってきた。
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