特集 最新治療薬ガイド1990
Ⅴ.内分泌・生殖領域の治療剤
14.多毛治療薬
仲野 良介
1
1和歌山県立医科大学産科婦人科
pp.1147-1149
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900247
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多毛(症)はhypertrichosis,あるいはhirsutismの訳語として用いられている。多毛は体毛の量的過剰を示す状態であるが,その本態は毛包の増生ではなく,軟毛の肥大あるいは硬毛化による。hypertrichosisはホルモンの影響を受けない多毛を,hirsutismはアンドロゲン作用により生じた女性や小児にみられる多毛を意味することが多い。しかし,両者の区別は不明瞭な点もあり,後者は前者の一部として包含されるとする見解もある。また,hypertrichosisは人種的,遺伝的,体質的な多毛を指し,hirsutismは病的状態における多毛を指すとする意見もある。
女子にみられる多毛はfemale hirsutismと記されることが多く,その患者はhirsute femaleと呼ばれる。(人種的にみて,日本人女子では白人女子に比べて発毛が薄く,多毛を呈する例は稀であるといわれている。たとえば,多嚢胞卵巣症候群でも日本人女子では多毛を示す症例は少ないとされている。)
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