症例
月経時の発熱と腹痛を主訴に来院した家族性地中海熱の1症例
牛嶋 順子
1
,
宮本 純孝
2
1自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科
2さいたま赤十字病院産婦人科
pp.956-960
発行日 2024年10月10日
Published Date 2024/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211357
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▶要旨
家族性地中海熱(familiar Mediterranean fever : FMF)は周期性発熱と漿膜炎を主徴とする遺伝性自己炎症性疾患である.
30歳・未経産の女性が,原因不明の繰り返す月経時の発熱・腹痛・前胸部痛と挙児希望を主訴に,産婦人科外来に紹介された.骨盤腹膜炎や子宮内膜症を疑う所見はなく,自己免疫性疾患や自己炎症性疾患の可能性を疑って総合内科へ紹介し,FMFと診断された.コルヒチン内服によってFMFの症状は消失した.症状消失後に不妊治療を行って,妊娠,正期産での分娩に至った.
FMFの症状は,月経時に出現することが多く,骨盤腹膜炎や月経困難症の症状と類似しているため,診断のついていないFMFの患者が原因検索のために産婦人科を受診する可能性がある.短期間で自然軽快する発熱や腹痛が反復する場合には,FMFの可能性も念頭に置く必要がある.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.