増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❷周産期救急疾患への初期対応
HELLP症候群/急性妊娠脂肪肝
森川 守
1
1関西医科大学産科学・婦人科学講座
キーワード:
HELLP症候群
,
急性妊娠脂肪肝
,
ミシシッピ・プロトコル
Keyword:
HELLP症候群
,
急性妊娠脂肪肝
,
ミシシッピ・プロトコル
pp.233-238
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211233
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症例は妊娠28週の初産婦.妊娠経過は順調であったが,2週間前の妊婦健診で140/90mmHg台の高血圧を初めて認め,自宅血圧測定が開始となった.4日前から37℃台の発熱,胃痛,嘔吐・下痢があった.3日前に飲食が困難となり近医内科を受診し,ウイルス性胃腸炎と診断され,ブチルスコポラミンの筋肉内投与と胃腸薬を処方され帰宅した.自宅で服薬していたが,症状は改善がなかった.前日に自宅血圧が130/80mmHg台から150/90mmHg台へ上昇した.胃痛がひどく飲水もできなくなっていた.本日,心窩部痛の増強,胎動の減少を主訴に,時間外受診された.血圧は160/100mmHg台,尿蛋白は4+だった.下肢の浮腫を認めたが,体重は1週間前に比べ3kg減少していた.胎児心拍数モニタリングで軽度の遷延一過性徐脈を認めた.血液検査結果はHb 15.9g/dL,Ht 45.6%,Plt 25,000/zL,T-Bil 2.4mg/dL,AST 231U/L,ALT 198U/L,LDH 978U/L,UA 9.8mg/dL,Cre 2.3mg/dL.血小板輸注を行ったのちに全身麻酔下で緊急帝王切開を施行した.
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