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《妊娠関連TTP(P-TTP)の病態と管理》
●稀な疾患でありエビデンスに乏しいが,P-TTPは母児の生命予後がきわめて悪い.
●HDP,HELLP症候群に続発した未診断のP-TTPの可能性があることを認識する.
●腎機能障害,溶血,破砕赤血球など,TMA徴候に注意する.TTPでは,動揺性の神経学的異常,頭痛が特徴となる.腎機能障害はあるが,aHUSのように急性腎障害までは至らない.肝機能障害は必発ではない.
●妊娠中の血小板減少には,ADAMTS13活性・インヒビター採血も行う.ADAMTS13値が20%台でもTTPの可能性と母児予後不良の可能性を認識する.
●3rd trimester〜分娩後に多いが,初期からでも発症する(aHUSは分娩後発症が多い).
●非妊娠時では95%が後天性であるが,P-TTPは先天性の比率が高くなる.
《急性TMA発症時のTTPの管理》
●厳重な母児の監視が必要となり,集学的医療が必要になる.
●ADAMTS13が不明の場合は,血漿交換・血漿輸液を検討する.
●血小板減少時の拙速な血小板輸血は,TTPであった場合には病態の増悪を招く可能性もあることを認識する.特に分娩時の血小板輸血の適応とタイミングに注意が必要である.ただし,TTPでの血小板輸血は禁忌とされてきたが,近年の文献で有害なエビデンスは報告されておらず,血小板減少が高度な場合は血小板輸血は絶対禁忌ではない.
《TTP病態のHDP管理》
●PE,HELLP症候群は,未発症のTTP症例がTMA発作を起こす誘因となる.臓器障害を伴う(加重型)PE病態の管理ではTTPの可能性を認識する.
●HDPに合併したTTPでは,血小板減少が高度になる場合が多いため,頻回の血圧監視・安定的な降圧が行える高血圧管理のほか,腎機能評価,画像診断を含めた中枢神経評価が可能な集学的管理体制が必要になる.
●血小板減少下での脳血管障害リスクを回避するため,重症高血圧を伴う場合は,降圧目標を設定(140/90mmHg未満)のうえ,安定的・計画的な降圧治療を実施する.
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