症例
子宮魚鱗癬に合併したverrucous carcinoma of the endometriumの1例
小野 元紀
1
,
山本 さやか
1
,
今西 俊明
1
,
横川 裕亮
1
,
横川 裕美
1
,
髙木 緑
1
,
戸田 文香
1
,
中村 智次
2
,
髙木 靖
1
1諏訪赤十字病院産婦人科
2諏訪赤十字病院病理診断科
pp.1305-1309
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210213
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▶要旨
症例は68歳で,閉経後性器出血を主訴に初診したが,子宮内膜細胞診で異常はなく経過観察となった.2年後の子宮内膜組織診は扁平上皮化生の結果であったが,2年9か月後に下腹部痛の増悪および子宮腫瘤の増大に伴い,腫瘍マーカーSCCが90.7ng/mLと著明に上昇しており,手術療法を施行した.病理結果から子宮体部疣状癌ⅠB期と診断した.
子宮体部疣状癌の報告は世界でも過去に5例しかない.進行がんでは再発の報告もあるが,手術療法を施行したⅠ期症例に死亡例はなく良好な経過をたどっており,早期発見がきわめて重要である.発症機序は不明だが子宮内膜の扁平上皮化性と関連がある.細胞異型に乏しい特徴から子宮内膜組織診でも術前診断が困難とされるが,本症例からSCCが一助になる可能性が示唆された.子宮内膜検査で扁平上皮細胞成分を認める症例に対しては,積極的にSCCを測定し,悪性疾患も念頭に置いた管理を考慮する必要がある.
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