臨床経験
妊娠中期に開腹手術を施行した急性虫垂炎2症例
芦川 すが
1
,
平沼 賢悟
1
,
小西 久也
1
,
藤森 啓太
1
,
浅尾 有紀
1
,
末延 豊
1
,
大鷹 美子
1
1東京都保健医療公社豊島病院
pp.1299-1304
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210212
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▶要約
急性虫垂炎は妊娠中に発症する急性腹症のなかで最も頻度が高い疾患である.妊娠に伴う生理解剖学的な変化や,画像検査の制限による診断の遅れによって,妊娠中の虫垂炎は重症化しがちである.今回われわれは妊娠中期に急性虫垂炎を発症し,診断に苦慮した2症例を経験した.症例1は36歳,妊娠27週3日で主訴は上腹部痛と嘔気・嘔吐.症例2は27歳,妊娠23週2日で主訴は右下腹部痛であった.2症例とも超音波・造影CT検査で虫垂腫大は指摘できなかったものの,臨床症状などから虫垂炎の可能性を否定できず開腹手術に踏み切り,術後に急性虫垂炎と診断された.急性虫垂炎が疑われた場合は,迅速に外科的探索をする必要性が高いことを学んだ教訓的事例であったため,文献的考察を加えて報告する.
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