今月の臨床 胎盤・臍帯・羊水異常の徹底理解―病態から診断・治療まで
臍帯
臍帯付着部による周産期予後の違い
長谷川 潤一
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学
pp.1007-1013
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210159
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●前置血管など臍帯付着部異常は胎児機能不全や周産期死亡に深く関連する.周産期死亡に至る例の多くは分娩前に超音波診断がされていないが,超音波診断されている場合はほとんどの例では生児を得る.
●卵膜付着と診断される胎盤のなかでも,卵膜血管が短い場合から長く複数の卵膜血管があるものまで形態は多彩である.卵膜血管が長い例や,前置血管を含む子宮下部に卵膜血管がある例での周産期予後が悪い.
●前置血管は卵膜上の遊走血管であるため,子宮の成長によって,胎盤のmigrationと同様の現象がある.しかし,前置血管が改善したとしても子宮下部の卵膜付着であることには変わりなく,依然としてハイリスクな状態と考え,分娩様式を経腟分娩にすることに関しては慎重に判断する.
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