連載 Obstetric News
子宮内避妊装置(ミレーナ)―卵巣癌と子宮内膜癌減少(ノルウェーの研究)
武久 徹
1
1武久レディースクリニック
pp.302-303
発行日 2020年3月10日
Published Date 2020/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209932
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ノルウェーにおける卵巣癌の研究(NOWAC)
2012年の統計では,世界中で約152,000人が卵巣癌によって死亡している.ノルウェーにおける75歳までの卵巣癌累積リスクは1.3%で米国と同じである.卵巣癌は症状がはっきりしておらず,スクリーニング試験もないため,診断の遅れに繋がり,ノルウェーでの5年生存率は50%未満である.その結果,卵巣癌はノルウェー女性において癌の罹患率は8位であるが,癌死亡率では5位である.卵巣癌リスクは経口避妊薬(OCs)の使用5年間ごとに15〜29%減少し,世界的に,OCs使用で毎年推定30,000例の卵巣癌を予防しているといえる.長期間のOCs使用は子宮内膜癌リスクも減少(5〜9年間使用で34%減少)させる.
しかし,OCs使用が10年間を超えた場合,OCs使用中止後最低5年間は,乳癌のリスクは最高38%増加する.そのため,避妊を必要としない女性に卵巣癌を予防する目的でのOCs処方は勧められていない.
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