連載 Estrogen Series・168
ハワイ大学と南カリフォルニア大学によるサルコペニアの多民族研究
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.284
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209268
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高齢になると骨格筋が失われ,体重が低下し,運動機能も低下する.この状態は臨床的にはサルコペニア(sarcopenia)と呼ばれる.これらの高齢者は歩行の困難,椅子から立ち上がることの困難,階段を上ることの困難,転倒時の困難,などを示す.運動能力だけではなく,社会的あるいは感情的な側面から見たQOL(quality of life)も,高齢者の幸福を形作る重要な要素である.
最近のハワイ大学および南カリフォルニア大学の研究者らは42,500人の高齢者を対象に,人種の相違に基づいて比較した動作の困難さを示す調査を行った.男女別にみると,過去2年間に転倒を経験した高齢者は,女性の18%,男性の12%にみられた.椅子から立ち上がることの困難さを経験している高齢者は,女性43%,男性35%で,重量10ポンド以上の物を持ち上げることの困難さは,女性の37%,男性の18%,階段を上ることの困難さを経験した高齢者は女性31%,男性19%であった.
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