症例
稀な遺伝子型を呈し腹腔鏡下洗浄ドレナージが有用であったA群β溶連菌感染症の1例
岡田 麻美
1
,
深山 雅人
1
,
徳山 治
1
,
中村 博昭
1
,
川村 直樹
1
1大阪市立総合医療センター産婦人科
pp.887-892
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209162
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▶要約
劇症型A群溶連菌感染症は致死率の高い重篤な感染症疾患の1つである.症例は49歳,突然の発熱と下腹部痛を認め救急外来を受診し,受診直後にショック状態に陥った.各種培養からA群溶連菌が検出され,同菌によるToxic shock-like syndrome(TSLS)と診断された.抗菌薬治療に加え,受診から53時間後に腹腔鏡下洗浄ドレナージを行った.その後は全身状態が改善し,第29病日に退院した.A群溶連菌分離株の遺伝子型解析の結果は,emm76型で,Streptococcal pyrogenic exotoxin遺伝子speB,speFを保有していた.劇症型A群溶連菌感染症には外科的介入も含めた早期の治療が必要であり,洗浄ドレナージには腹腔鏡が有用な場合もある.
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