症例
腹腔鏡下洗浄ドレナージにより判明した劇症型A群溶連菌感染症の1例
清水 美代
1
,
高塚 沙紀
2
,
田中 成美
1
,
西 茜
1
,
渡邉 愛
1
,
加藤 淑子
1
,
前田 英子
3
,
大倉 直子
4
1京都済生会病院産婦人科
2近江八幡市立総合医療センター産婦人科
3京都府立医科大学大学院医学研究科女性生涯医科学
4京都済生会病院呼吸器内科
pp.459-463
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698650790050459
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▶要旨
51歳,未妊の症例.腹痛,嘔吐のため前医で胃腸炎と診断されたが,CTで子宮筋腫を認めたため当科を紹介受診した.歩行,会話に問題はなかったが,血圧57/35mmHg,脈拍74回/分,呼吸数25回/分であった.WBC 4,290/mm3,CRP 19.06mg/dLと強い炎症所見,またクレアチニン1.95mg/dLと腎機能障害,MRIで多発筋腫と子宮周囲に腹水貯留を認めた.
入院後も血圧低下が続いたため,緊急腹腔鏡下洗浄ドレナージを施行した.術後も発熱が続き,再度,炎症反応が上昇,胸水貯留と咳嗽を認めた.腹水,腟分泌物,血液培養でStreptococcus pyogenes(A群溶血性連鎖球菌 : GAS)が検出されたため,ベンジルペニシリンとクリンダマイシンの大量投与を行った.その後も発熱が持続,胸水貯留も減少しないため,膿胸の診断で胸腔持続ドレナージ,胸腔洗浄を行った.解熱と炎症反応の低下を認め,術後41日目に退院となった.
急激に進行する重症感染症に対してGAS感染症を考えておくことが必要であり,早期の洗浄ドレナージは有効であると考えられた.
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