連載 Estrogen Series・151
更年期後のホルモン療法とその長期的アウトカム
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.548-549
発行日 2016年6月10日
Published Date 2016/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208805
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米国ですでに完了したWomen's Health Initiative(WHI)は,画期的な大規模調査であった.その目的は,大部分が健康である更年期後女性において,ホルモン療法と長期的なアウトカムとの関連を見ようとしたものである.米国では,ある時期には更年期後女性の40%がホルモン療法を受けていた時代があったが,そのようなホルモン療法の隆盛は,2002年にWHIの調査の結果が発表されるやホルモン使用率は低下し続け,いまや影もない(というか,影くらいになってしまった).
WHIの設定した観察期間にわたる試験終了後にも,さらに期間を延長して,ホルモン療法と長期的疾患との関連を見ようとする調査はいまだに継続している.今回ご紹介するのは,JAMAに発表された長期的追跡の結果である1).その主な調査対象となった合併症は,冠動脈疾患(CHD)と浸潤性乳癌であった.それ以外にも,脳卒中,肺栓塞,認知症,胆道疾患,尿失禁,などのリスクが認められた.ホルモン療法によって減少を示す疾患には,大腿骨骨折,糖尿病,血管運動神経症状などが認められた.
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